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  • SUPPORTER

2023.08.01

一般社団法人 京都知恵産業創造の森~京都でのビジネス展開を支える、企業・起業家の相談窓口~

一般社団法人京都知恵産業創造の森(以下、知恵森)は、京都市中心部、ビジネスエリアの四条烏丸に拠点を構え、市内の産業支援機関等への橋渡しや、多様な人々との出会い、交流の促進など、様々な支援をワンストップで提供しています。
知恵森が提供する支援や京都のビジネス面の魅力などについて、稲垣繁博理事と、株式会社GXインキュベートで事業責任者を務める清水浩司氏をゲストに迎え、お話を伺いました。(取材日:2023年6月26日)

一般社団法人京都知恵産業創造の森の稲垣理事(左から4人目)と現場で支援する職員、株式会社GXインキュベート事業責任者の清水氏(右から3人目)

プロフィール

稲垣 繁博(いながき しげひろ)
一般社団法人京都知恵産業創造の森 理事

1961年生まれ。前京都商工会議所常務理事、2023年6月、一般社団法人京都知恵産業創造の森理事に就任。関西サッカー協会理事・フットサル委員長、関西フットサル連盟会長。

清水 浩司(しみず こうじ)
株式会社GXインキュベート 事業責任者

1996年生まれ。日本大学法学部在学中からスタートアップでWebマーケティングを始め、2事業の社内起業を経験。2020年、株式会社ガイアックスに入社。2023年6月、株式会社GXインキュベートの事業責任者に就任。Web3.0、DAO、シェアリングエコノミーを中心に、投資実行から経営支援を担当。

知恵産業創造の森とは

―はじめに、知恵森について教えてください。

稲垣:知恵森は、ベンチャーのまち京都で、1社でも多くのベンチャー企業を育成しようと、経済界と行政等が連携して、平成30年11月に設立されました。
1200年の歴史を誇る京都では、様々な文化や技術が、その時代時代の先人の知恵と工夫によって、伝統産業としてはぐくまれ、継承される中で、先端産業も生み出してきました。団体名の「知恵産業」という言葉は、そうした京都産業の成り立ちが由来です。

―知恵森の特徴はどんなところでしょうか?

稲垣:知恵森は、京都市や京都府、京都商工会議所、(公社)京都工業会が集まって組織化された団体であるため、経営や専門的な技術の支援を提供している経済団体・産業支援機関や、補助金等の支援を行う行政機関などへスムーズに橋渡しする役割を果たしています。
また、知恵森が入居している京都経済センターは、京都商工会議所など約50の経済団体や産業支援機関等が集結した京都経済の拠点で、団体・機関間の連携が図りやすい場所であります。主要な経済団体等が一堂に集まり、かつ行政もしっかりバックアップしている施設というのは、全国的にも珍しいと思います。
この京都経済センターを拠点に、知恵森では大きく分けて「スタートアップ支援」、「産学公連携の推進」、「スマート社会の推進」、「産業人材育成」、「交流と協働による新たな価値創造」の5つの事業を展開しています。

京都経済センター

知恵森の支援

―京都進出を検討している企業にとって、「スタートアップ支援」は魅力的だと思います。

稲垣:スタートアップといっても、学生ベンチャーや企業からの独立、事業承継に伴う新事業展開など様々で、企業の成長段階によって必要な支援は異なります。そこで、知恵森では、例えば、メンターとの壁打ちによるビジネスプランのブラッシュアップやベンチャーキャピタル相談窓口の設置、先輩起業家との出会いの創出、アントレプレナーシップ醸成イベントの開催など、企業の成長段階の全てにわたりバックアップする体制を整え、支援しています。
また、知恵森は、経済団体、産業支援機関、大学、金融機関、京都府、京都市など、市内の39団体が一体となって設立した京都スタートアップ・エコシステム推進協議会の事務局として組織の要を担っており、構成団体間の橋渡しや京阪神全体での連携も推進しています。知恵森の体制にこの協議会のネットワークが加わることで、産学連携や様々な支援にスムーズに幅広く橋渡しできるようになり、一層手厚い支援が可能になりました。
「やりたいことはあるが、何から始めたらいいかわからない」という初期の段階から相談を受け付けていますので、まず知恵森へご連絡いただければ、ワンストップで必要な支援に幅広くおつなぎします。

―続いて、「交流と協働による新たな価値創造」について教えてください。

稲垣:知恵森が運営するオープン・イノベーション・カフェ「KOIN」は、情報収集や交流、共創の場として、起業家やクリエイター、大学の研究者など、様々な方にご利用いただいています。コロナ禍にも関わらず、昨年度は延べ1万2千人の方にご利用いただきました。
会員登録(無料)すれば1回2時間まで利用可能で、打ち合わせやちょっとした作業に使っていただけるほか、今どんな人がKOINに来ているかをデジタルサイネージやホームページにリアルタイムで表示するなど、利用者同士がつながる様々な仕掛けがあります。また、知恵森の5つの事業内容とリンクするイベントであれば、会場としてKOINを貸出しています。知恵森の主催・共催含め、様々なイベントやセミナーを年間200回以上開催しています。
多数の人々や団体が集まる京都経済センターという場所のメリットを活かし、「多くの様々な人や組織が出会い、交流し、発見が得られる」という特性が、他のコワーキングスペースとは異なる強みです。

オープン・イノベーション・カフェ「KOIN」

進出企業から見た知恵森

―次に、GXインキュベートの紹介をお願いします。

清水:弊社は株式会社ガイアックスの100%子会社で、2023年夏に京都に拠点を開設する予定です。シェアリングエコノミーやWeb3.0等に特化した事業会社であるガイアックスのアセットを活かして、国内外のスタートアップ等への新規投資や投資後のサポートを行っています。特にこれから起業する人や起業後に資金が必要になってきた、いわゆるシード期の企業がターゲットです。

―どのような経緯で知恵森とつながったのでしょう。

清水:私は昨年までガイアックスで人事を担当しており、優秀な学生を採用したいと思い、京都に来たところ、京都大学起業部の学生と出会い、知恵森を紹介してもらったのがきっかけです。そこから、起業に関心のある学生等を対象に、当時注目されていたノーコード開発(※)をテーマにしたコンテストを知恵森と共同開催したり、メンターとして京都在住の方を中心に事業の構築・展開の相談支援をしてきました。

(※)プログラミングの知識やスキルがなくても、アプリケーションやWebサービスの開発ができる方法

稲垣:当時、相談にタイムリーに対応できる専門家がいなかったため、清水さんに協力をお願いしました。それを契機として、その後もKOINをよく利用していただいています。

清水:仕事柄、全国各地のインキュベーション施設によく行きますが、市内中心部で駅直結という、こんなにも好立地の施設は見たことがありません。しかもWi-Fi完備で無料、東京から来てもいきなり使えて、太っ腹だな!とびっくりしたことを覚えています。また、他の利用者と気軽につながれる仕組みがあり、利用者の年代もバラエティ豊かで、他の施設と比べて圧倒的に開かれた雰囲気のすごく面白い場所だという印象でした。東京から京都に出張するようになり、作業場所を探していたときにKOINを知り、何より京都の方ともっと知り合って話をしたいと思っていたので、渡りに船でした。

―知恵森とのつながりを、事業にどう活かされていますか。

清水:弊社は自社の専門性を活かして、スタートアップの相談・支援を行い、知恵森の事業のお役に立つことができます。また、資金を必要とする企業や起業家に、弊社をベンチャーキャピタルとしてご紹介いただくこともあり、互いに良い関係を築けています。
また、京都ほど歴史のあるまちは他にないと思いますが、歴史のあるまちとスタートアップという組み合わせは、一見相容れないようで、実はとても相性が良いとも思います。社会課題に対する感度が高いスタートアップが、京都の空き家や観光などで生じている社会課題の解決に取り組む。例えば、実証実験のような形で、社会課題解決の先進事例を京都でつくっていく。そして京都の世界的な知名度を活かし、それを日本だけでなく世界に対しても発信し、展開していく。こういうことができるのが京都だと思います。
こうしたビジネスアイデアを実現する際には行政の協力が不可欠ですが、その点、知恵森が中心にいて、商工会議所、地元金融機関、京都府市等につないでもらうことができ、オール京都体制で支援していただけるのは、すごくありがたいです。我々のような企業やスタートアップにとって、「知恵森に相談したら力になってくれる」という安心感は大きいと思います。

ビジネス目線での京都の魅力

―ビジネス拠点として、京都のどのようなところに魅力があるのでしょう。

清水:京都はご存知の通り、歴史、文化、食において国際的に見て圧倒的なブランドがあります。それに魅了された観光客、ビジネスパーソンが多く集まる都市であり、これだけのものを兼ね備える都市は日本中探してもなかなか見つかりません。国際的知名度も高い京都でビジネスを興すことは、日本だけでなく世界を見据えたビジネスを作る上でも非常に有利に働く点が多いのではないか、と考えています。

稲垣:京都の魅力はインスピレーションを得やすいところだと思います。なぜなら、京都には、伝統産業から先端産業までが揃っている。京都の伝統産業と先端産業は切り分けられるものではありません。先人が大切に継承されてきた伝統の技が、人々の知恵と工夫によって磨き上げられ、先端産業を生んでいるのです。例えば、京焼・清水焼の伝統的な陶磁器の技術がセラミックスという新しい分野の開拓につながっている。京都にはこうした事例が数多くあります。こうした知恵と工夫の積み重ね、つまりインスピレーションの得やすい環境が京都のそこかしこにあるのです。
また、京都は、歴史の中で様々な業界・業種が脈々と続いてきた「異業種文化・交流のまち」です。お寺、お茶、お花など業種が異なっていても、「お世話になっているから、あの行事に顔を出しておく」、「会議に出ておく」など接点も多い。例えば、ビジネスセミナーで出会って、翌日にお寺の会で会って、次にお茶会で出会ってなど、繋がってきます。繋がると、異業種や文化の知識も増えて、伝統、歴史や習わしが少しずつ理解できてくる。それが新しい知恵や工夫に繋がり、ビジネスを生むのです。
加えて、ビジネスを展開していくうえで「衣食住が一体」ということも重要です。ベッドタウンから都心部のビジネス街に通勤するスタイルの、住居と働く場がエリアごとに別々になっている都市が多く、都心部には商売するときだけしかいない。一方で、京都は、まちの中に住居と働く場が混在する職住近接のまちです。住む場所と商売の場所が同じまちにあることで、いろいろと感じることが変わってきます。そのまちから成長していく、という意識が高まり、まちを誇りに思い、まちの価値観を高めていく、という責任の持ち方になってくるのです。

―最後に、京都進出を検討されている企業に一言お願いします。

清水:京都には、学生や外国人など、いろんな方がいて独特の多様性・受容性があり、外から来てもあたたかく受け止めてくれる土地だと感じています。また、神社仏閣や自然が多く、気軽に散歩しても楽しいところです。インスピレーションにつながるところはスタートアップや新規事業に携わる人にとってすごく魅力的だと思います。イノベーティブな考え方を求めて国内にどこかもう一拠点というときには、まず京都を選択肢に入れることをお勧めします。

稲垣:京都は、ビジネスの魅力にあふれるまちです。皆さんの思いを知恵森にどんどんぶつけていただければ、必ずや良い結果が生まれます。私は、「積極的な想いのある人が、同じく積極的な想いの人とつながり、新しいものが生まれる」というのが理想だと考えています。「京都に入りにくい、何をしていいのか分からない」という方も、知恵森に来ていただければ、きっかけやヒント、良い出会いにつながる可能性は十二分にあります。京都へのビジネス展開をお考えの方、まずは知恵森にご相談ください。

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