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2023.09.11

株式会社Monozukuri Ventures~「モノづくりは簡単だ」 スタートアップのモノづくりを支援~

株式会社Monozukuri Venturesは、日米に拠点を持つハードテックに特化したベンチャーキャピタル(以下、VC)です。Monozukuri Venturesが提供する支援や同社がオフィスを構える梅小路公園(※)の周辺エリアでの活動、京都のビジネス面の魅力などについて、牧野成将社長にお話を伺いました。
(取材日:2023年7月28日)
(※)京都駅の西に位置する都市公園(京都駅から徒歩約15分、JR梅小路京都西駅(京都駅から1駅)下車すぐ)

プロフィール

牧野 成将 (まきの なりまさ)

1979年生まれ。京都・大阪のVCや公益財団法人京都高度技術研究所(ASTEM)での起業支援・投資活動を経て、2015年にハードウェア・スタートアップの試作・量産化を支援する株式会社Darma Tech Labsを創業。2020年にNYの提携先企業と経営統合し、株式会社Monozukuri Venturesを設立。2017年7月にスタートアップの試作と投資を行う国内初のファンド「MBC Shisakuファンド(1号ファンド)」、2021年1月に2号ファンドを設立し、50社を超える日米のスタートアップに投資を行っている。


株式会社Monozukuri Venturesとは

-はじめに、Monozukuri Venturesについて教えてください。

当社は、ハードテックに特化したVCで、「モノづくりは、簡単だ」というビジョンを掲げ、起業家やスタートアップが、高品質の製品を少量でも素早く生産・販売できる世界の実現を目指しています。
スタートアップの中では、「Hardware is Hard」といって、ソフトウェアよりも時間・コストのかかるハードウェアは敬遠されており、生産や流通といったリスク要因も多いため、VCも投資を敬遠しがちです。そうした状況を変えようと、スタートアップにとってハードルの高い、量産化の前段階である試作・量産設計のフェーズを支援するために会社を立ち上げました。

-具体的な事業内容を教えてください。

事業内容は主に三つです。
一つ目は、スタートアップのものづくり支援です。まず、「誰にどう依頼したらいいか分からない」というスタートアップの相談に私たちMonozukuri Venturesが乗ります。そして、その相談がまだプロトタイプがないアイデアを形にする0→1の段階であれば、3Dプリンターやレーザーカッター、CNC等のデジタル機器を揃えた私たちのものづくり拠点「Kyoto Makers Garage」(※1)(以下、KMG)で、アイデア出しや加工、製作をお手伝いします。また、相談がプロトタイプを量産試作に繋げる1→10の段階であれば、京都府下のものづくり企業37社が参画する、精鋭ものづくりネットワーク「京都試作ネット」(※2)にお繋ぎし、ニーズの実現を図ります。このように、アイデア~試作~量産のそれぞれのステージにあわせて、最適なソリューションを提供します。
二つ目は、VCとしての投資事業です。金融機関やメーカーにもファンドのLP(有限責任組合員)として参画いただき、日本初のハードウェア・スタートアップ特化型投資ファンドを運営しています。
三つ目は、スタートアップと大企業の協業支援です。スタートアップと大企業が協業するにあたり、そのままお互いの思惑をぶつけても上手くいかないことが多くあります。このため、VCとして我々が間に入り、対話を仲立ちするなど、円滑に協業が進むようスタートアップのスケールアップを支援します。

(※1)Makers Boot Camp(現: Monozukuri Ventures)と京都市が連携し、京都市中央卸売市場の乾物屋の空き倉庫を改装して2017年にオープンしたモノづくり拠点。利用者数(施設利用・イベント参加)は約200名/月で、うち1~2割が海外から。
(※2)京都府下のモノづくり企業37社が参画する、部品の「加工試作」から全体のシステム・機構の「開発試作」、価値創造まで見据えた「協創試作」を支援するモノづくりのプロ集団。

-京都とニューヨークに拠点を置かれていますが、海外の投資先も多いのでしょうか。

現在、投資先56社のうち30社がアメリカの企業です。当初から一緒に支援をしていたニューヨークの企業が、アメリカ東海岸を中心としたモノづくりのスタートアップと日本のモノづくりを繋げたいという想いを持っていて、思惑が一致したことから、2020年に経営統合、社名を「Monozukuri Ventures」に変更し、海外ネットワークが強化されました。

アイデアだけでも大丈夫!やりたいことを形に

-これまでに支援されたモノづくりの事例を教えてください。

試作から量産設計まで支援した事例として、東京のスタートアップですが、株式会社スマートショッピング(※1)が開発したIoTデバイス「スマートマット」があります。EC事業を手掛ける会社で、「『在庫管理を自動でやってくれるマット』というアイデアはあるものの形が作れない」、という相談からはじまり、KMGで試作を支援しました。当初はBtoCのマーケットを狙っていましたが、京都試作ネットで同じものを20台作り、BtoBのマーケットにも展開したところ、見事にはまり、最初に導入したアスクル株式会社(事務用品の通信販売)では、コピー用紙とのセットで1万台売り上げました。その後、量産に向けて設計変更し、現在は約1,200件以上で導入、10万台以上を生産しており、一気に量産化を実現しました。
 その他にも、mui Lab株式会社は、試作を支援した木製タッチパネルディスプレイが世界最大のテクノロジー見本市であるCES(※2)でイノベーションアワードを受賞し、昨年、三菱地所・LIXILとの提携を発表するなど成功を収めています。
このように、Monozukuri Venturesが支援した成功事例は数多くあります(※3)。

(※1)リアルタイム実在庫の見える化で在庫管理、工程改善・DXを進めるIoTソフトウェア企業。
(※2)毎年1月にラスベガスで開催される電子機器の見本市で、多くの新製品・試作品が出品される。
(※3)その他の支援事例はこちら

(左:KMGで試作を支援した数々の製品、右:スマートマットのプロトタイプ)

そうしたモノづくり支援は、どうすれば受けることができますか。

試作については、KMGで使う機材等に応じて一定の料金はかかりますが、特別な条件はありません。アイデアレベルでも大丈夫ですので、まずはご相談ください。 KMGには、趣味の範囲からスタートアップの事業拡大まで、あらゆる相談がきます。例えば、「釣り竿を支える台を自分で作ったが、仲間に欲しいと言われたので何台か制作したい」という相談の場合、技術的なコンサルティングや投資までは必要ないため、モノを作るところだけを支援しています。
一方で、アイデアはあるがどうやって実現したらいいか分からない人に対しては、KMGでヒアリングや条件整理など、アイデア実現に向けた足掛かりの提供や、アイデア出し、レクチャー、加工支援、オーダーメイドなど、目的達成に必要な要素を必要なだけ提供する「ものづくり相談」を実施しています。
さらに、プロトタイピング(原理試作・機能試作)を終えて、量産化試作・量産・コンサルティングに関する悩みを抱えている人に対しては、京都試作ネット等と連携して対応しています。

-投資の相談もできるのでしょうか。

はい。KMGを利用されている方が投資を受けたいという場合は、KMGの担当からMonozukuri Venturesの投資担当につないでお答えする、という流れです。どういったポイントで投資するかをホームページで発信するなど、できるだけ情報開示するよう努めています。
また、相談いただいた結果、投資対象ではないと判断した場合でも、可能性が0というわけではありません。最初から「世界を変えたい」と取り組む人もいるかもしれませんが、そのような人はごく稀です。ほとんどは目の前のことに取り組んでいく中で成長を遂げ、徐々に大きなことができるようになっていくものです。社会を変えていくのは一人ひとりの人間の想いだと私は信じています。だから私たちの支援に条件はありませんし、人の成長段階に応じて提供するサービスも変化していきます。ハードウェアの場合、ソフトウェアと違い、現状では一人の天才が社会を変えることは難しい状況です。しかし、私は、ハードウェアであっても、一人の人間の想いが社会を変えることができる、そういった社会を創りたいと思っています。

Kyoto Makers Garage(KMG)内に設置されているレーザーカッター、3Dプリンター等の機材

イノベーションが生まれる、梅小路エリア

-Monozukuri Venturesが拠点を置いている梅小路公園の周辺エリアはどんなところですか。

梅小路公園の周辺エリアには、モノづくりやアート、食をキーワードに、スタートアップやクリエイター、アーティストなど、様々な熱量の高い人たちが集まり、垣根を越えて連携しており、新しいビジネスが生まれる雰囲気があります。イノベーションが生まれる時は、ある企業1社だけでなく、まち全体にそういう雰囲気があることが重要です。ニューヨークのブルックリン、サンフランシスコのSOMA、ロンドンのショーディッチなど、世界のクリエイティブタウンには、市場や造船所、工場がなくなり、地代が安くなった空き倉庫にスタートアップやアーティスト等が集まってきた、という共通した背景があります。ここで重要な点は、ある建物だけではなく、周辺も好条件であるということです。好条件が面で広がっているからこそ、多様な人たちが集まって来られるのです。梅小路公園の周辺エリアにも非常に近い雰囲気を感じたので、我々はここに拠点を構えました。

-この独特のエリアはどうやって形成されていったのでしょう。

我々が拠点を構えたのと同時期に、同じようにこのエリアのポテンシャルを感じている人たちがいて、梅小路公園の周辺エリアをどういう風にしていきたいかを話し合うようになりました。そこに京都信用金庫から声をかけていただき、梅小路公園の周辺エリアの動きを加速させようということで、2020年12月に株式会社梅小路まちづくりラボ(※)を発足しました。同社では、モノづくり、アート、食をキーワードに、未来志向で再開発の進む梅小路京都西駅エリアのクリエイティブタウン化を推進しています。その一環で、エリア内の遊休不動産を借り受け、リノベーションして2022年5月にUmekoji MarKEtをオープンしました。そこでは、我々や京都試作ネット等が入居するレンタルオフィスに加え、金属加工の3Dプリンターのショールームやオープンスペース、食をテーマとしたコワーキングスペースなどがあります。定期的にミートアップイベントが開催され、国内外から多数参加いただいています。

Umekoji MArKEtではワークショップやセミナー、イベントなどが開催されている

-京都市外から梅小路公園の周辺エリアに拠点進出された事例はありますか。

最近では、東京に本社を置くFinger Visionという視触覚センサをコア技術とするスタートアップが、KMGの隣に研究開発拠点を設置されました。梅小路公園の周辺エリアのエネルギー量もさることながら、モノづくりに詳しい人たちが多く、同じ目線で相談できる点に惹かれた、というのが理由だそうです。

-これから、梅小路はどんなエリアになっていくのでしょう。

京都には、変わってはいけないエリアと変わっていいエリアがあると思います。祇園や嵐山などは守るべきエリアである一方、変わることが良しとされるエリアもあると、都市としての魅力に厚みが増しますし、梅小路がそういうエリアになればと思って活動しています。梅小路公園の周辺エリアが、「お金はないけど夢はある人」、「夢しかない、何もない人」たちが寄り集まり、夢を語り合える場所であってほしいと願っています。

拠点を構えて京都に飛び込む

ビジネス拠点として、京都のどんなところが魅力だと思いますか。

主に四点あります。
一点目は、グローバルな大企業が多いということです。様々な形で取引できれば、グローバルな視点でフィードバックをもらえ、事業が加速していくので、我々もオープンイノベーションを推進していくためにもグローバルな大企業との関係性をもっと構築していきたいと思います。
二点目は、京都試作ネットのような高品質かつ少量多品種のモノづくりに精通したエキスパートからモノづくりをサポートしてもらえるというところです。
三点目は、優秀な学生が多く、採用に有利なところです。京都に進出するスタートアップの多くがこの環境を一番のメリットと考えています。
最後に、世界から見ると、やはり京都の技術力というのは大きいです。モノづくりの分野でいえば、材料や機械など、様々な領域でトップを取っているので、世界のトッププレーヤーと協働したいスタートアップから見て魅力的だと思います。

最後に、京都進出を検討している企業に一言お願いします。

京都で起業した立場から言うと、京都は利益よりも事業を継続させることに価値を置いている地域です。京都に腰を据える決意をした人には、様々な人が様々な形で応援してくれます。コンパクトなまちなので、様々な形で人とつながっていき、ある意味、大企業とも簡単に繋がれます。「京都で事業をやりたい」という相談を受けると、私は「やるなら必ず拠点を構えてしっかりやったほうがいい、そうすればみんな応援してくれるから」と言っています。京都で事業を始める際は、腰を据えて取り組むことを示す意味でも、拠点を構えることをお勧めします。

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