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  • SUPPORTER

2025.12.18

SIGHTS KYOTO~ビジネスパーソンと地域の交流を創造する「関係案内所」~

SIGHTS KYOTOを運営する株式会社ニシザワステイ代表取締役の西澤徹生氏に、お話を伺いました。
SIGHTS KYOTOは、京都五花街の一つ、宮川町にある施設です。築100年の趣ある京町家をリノベーションし、バーとコワーキングスペースを併設することで、京都を訪れる旅行者やビジネスパーソンと地元住民の交流を創造しています。
利用者には、VC、IT、広告、Web制作など、多様な業種の方々がいます。出張のたびにコワーキングスペースやバーを利用している市外在住の常連も多く、最近は、京都市と連携した内覧ツアー等により、サテライトオフィスとしての利用も増加しています。
西澤氏は、京都でビジネスを成功させる鍵は人的ネットワークの構築にあると語ります。そのためには、まず損得勘定のないフラットな場で交わり、相互理解を進めることが大切だといいます。京都に関心を持つビジネスパーソンの入口となるSIGHTS KYOTO が“つなぎ手”として全力でサポートするので、京都が大事にしている“商いの哲学”にふれたい、身につけたいという方に、ぜひ京都に来てほしいとのメッセージをいただきました。

取材の詳細は下記から。(取材日:2025年8月19日)

プロフィール

西澤 徹生(にしざわ てつお)
株式会社ニシザワステイ 代表取締役

1988年生まれ。京都市中京区出身。京都大学観光MBA修了。大手旅行代理店での勤務を経て、2016年に京町家の一棟貸し宿泊施設「KYOMACHIYA-SUITE RIKYU」を開業。2022年には、京都の中と外をつなぐ入口として、バーとコワーキングスペースを併設した複合施設「SIGHTS KYOTO」を開業。旅行業の立場から、インバウンド富裕層向け観光コンテンツ「1/KYOTO -キョウトブンノイチ-」を企画・販売している。専門は旅行・観光分野。多様な人々の交流を創造し、新たな価値を生み出すことを目指す。

SIGHTS KYOTOとは

-はじめに、SIGHTS KYOTOとはどんなところか教えてください。

SIGHTS KYOTOは、京都を訪れる旅行者やビジネスパーソン、地元住民の交流を創造する複合施設です。京都五花街の一つである宮川町の元お茶屋をリノベーションして、2022年4月にオープンしました。1階がバー、2階・3階がコワーキングスペースとなっており、約30席のフリーアドレスの空間には、個人ブースやミーティングルームも設けています。コワーキングスペースをご利用いただく場合は、1階で受付をして2階・3階でワークしていただきます。集まる人たちの目的は様々ですが、立場や年齢・仕事や遊びの枠を超えて、一期一会の時間を共有する空間を目指しています。

京都に地縁を持たない人が人間関係を構築するための「関係案内所」

-どのような経緯で現在のような活動を思い立たれたのでしょうか?

京都を持続可能な観光地にしていくために、地域に暮らす人々と旅行者が気軽に交流できる場所を作りたいと思い、バーとコワーキングスペースを併せ持つSIGHTS KYOTOを開設しました。当初は観光がメインだったのですが、2年前にKyo-workingツアーでご紹介いただき、市が企業誘致に力を入れていることを知りました。そのご縁で、市の企業立地促進制度補助金のチラシを設置し、ビジネスパーソンのお客様にご紹介するうちに、法人が京都に進出するメリットに気づき、大いに共感しました。そして、市外から来た人と地元の人たちの出会いの場を提供し、ビジネスを加速させるという役割において、私たちもお役に立てるのでは……と思い、観光とビジネスの交流を創造する複合施設という方向性を見出し、現在に至ります。一般的な「観光案内所」というより、京都になじみが薄い方が人間関係を形成する一助となる「関係案内所」を標榜しています。

-一朝一夕では築くことができない人脈づくりの第一歩となる場所なのですね。

はい。京都進出を考える企業の方々のお話を伺っていると、皆さん一様に情報を得るのに苦労され、垣根の高さを感じておられるように思います。京都には観光情報は豊富にありますが、ビジネス関連の情報は不足しており、地縁のない人は情報を得るすべがないのです。人からの紹介を大事にする文化が他都市より根強いため、一度つながりができればスムーズに事が運びますが、最初の接点を作るのが非常に難しい。まずは、損得勘定のないフラットな場で交わり、相互理解を進めることが大切です。そこから生まれた人的ネットワークは先々ビジネスにもつながり、結実すると考えています。

元お茶屋の風情ある外観(左)1階のバー(右)

登記可能のコワーキングスペースをサテライトオフィスとして利用

どんな方が利用されていますか? 利用者数も含めてお教えください。

観光業がベースのため裾野が広いのが特徴で、VC、IT、広告、Web制作など多様な業種の方々にご利用いただいています。出張のたびにコワーキングスペースやバーを利用してくださる市外にお住まいの常連さんも多く、ドロップイン利用登録は累計700人ほどです。会議室は大手企業、スタートアップ企業、大学研究室などにご利用いただいています。打ち合わせ後の会食手配や観光案内を無料で承っている点も好評です。月額利用を検討する方には内覧を推奨しており、企業誘致推進室と連携した内覧ツアーや交流会を通じた企業紹介も実施しています。おかげさまで京都でのサテライトオフィスとしての利用も増え、現在は4社にご契約いただいています。

どのような流れでサテライトオフィスとしての利用が決まったのですか?

4社いずれも企業誘致推進室からの紹介で契約に至りました。1件目のゼロワンブースターキャピタルさんは、2024年7月に開催された「IVS 2024 KYOTO」のサイドイベントでお引き合わせいただき、すぐに内覧に来られて、その場で入居を決めていただきました。京都拠点設立後、事業会社の中に眠っている技術や知見を発掘・活用するプログラム「SPINX」において成果を挙げていらっしゃいます。ゼロワンブースターキャピタルさんはVCですが、「出資の決め手となるのは書類ではなく人」という観点から、リアルな対面のコミュニケーションを大事にされています。SIGHTS KYOTOでもコワーキングスペースで勉強会を開き、終わったら1階のバーで交流会、と上手に使ってくださっています。

2階のミーティングルーム(左)個人ブース(右)

拠点利用のメリットはどんなところにありますか?

月額契約では、個人事業主向けから法人向けまで同時利用人数ごとのプランを用意しています。拠点利用では、法人登記により京都市東山区宮川筋という京都らしい住所を使用していただけるのが大きなメリットです。京都のビジネス・観光の中心である烏丸や河原町へのアクセスも良好なので、定期的に訪れて京都拠点として実際に利用していただきたいと思い、登記利用者には郵便物の管理サービスを充実させています。オフィスビルの個室ではなく共同のコワーキングスペースですが、個別のポストを提供し、郵便物の仕分けとLINEによる受け取り通知を実施しています。

花街の風習である京丸うちわ(※)に法人会員を名入れ
※京都の花街では、芸舞妓が得意先に夏のあいさつとして花街や芸舞妓の名前の入ったうちわ「京丸うちわ」をお世話になった方々に配る習慣がある。

京都を訪れるビジネスパーソンと地域の“つなぎ手”として

ビジネス拠点としての京都の課題は、どんなところにあると思われますか?

やはり最大の課題は、「入りづらさ」です。法人が京都に進出すると、イノベーションの創出や税収、人口増加など、観光とは異なる様々なメリットをもたらします。逆に外部からの刺激がなければ、まちは凝り固まって、今あるリソースが消費される一方で疲弊してしまいます。外から入って来る人たちは京都の発展に貢献してくれる存在であるという共通認識を持って、京都に拠点を構えたいと思ってもらえるように発信していく必要があります。京都に関心を持つビジネスパーソンの入口となる、我々SIGHTS KYOTOも“つなぎ手”として全力でサポートしなければいけないと心しています。

今後の拠点運営の展望をお聞かせください。

大手企業の新規事業開発部門や海外企業の誘致にも力を入れていきたいですね。世界的に人気が高い観光都市・京都には毎年多くの観光客が海外から訪れ、外国人を受け入れる基盤は整っています。海外法人が参入しやすい素地は十分あるはずなので、グローバル企業誘致の可能性を広げていければいいですね。国内海外を問わず、定期的に京都へ足を運んでもらい、観光地というよりも“我がまち京都”みたいなマインドを持ってもらえるよう工夫したいと考えています。

これから京都進出を検討している企業や起業家の方にメッセージをお願いします。

京都は、ビジネスの拠点を構えるには素晴らしいまちだと思います。入り込みにくいイメージがあるかもしれませんが、支援制度が充実しており、一度入ってしまえば驚くほど温かく居心地がいいので、コワーキングスペースやKyo-workingツアーなど、取っかかりやすいところからまず飛び込んできていただきたいです。
京都というのは、不易流行のまちですから、京都の本質を大事にしながら一緒に変えていく仲間は大歓迎です。京都が大事にしている“商いの哲学”にふれたい、あるいはそれを身につけたいという方にぜひ来ていただきたいと願っています。

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京都市 産業観光局 企業誘致推進室

(京都)TEL:075-222-4239
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