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2024.03.28

京都リサーチパーク(KRP)~多彩なスペースと交流の仕組みを提供し、イノベーション創発を支援~

京都リサーチパーク(以下、KRP)は、スタートアップから中小企業、大企業まで、あらゆる規模の企業が入居する、イノベーション創発を支援する民間運営の都市型リサーチパークです。KRPが提供するオフィス・ラボや様々な交流の仕掛けについて、新事業開発部の井上良一部長とイノベーションデザイン部の杉山智織さんにお話を伺いました。(取材日:2024年2月14日)

井上部長(左)と杉山さん(右)

プロフィール

井上 良一(いのうえ りょういち)
新事業開発部長 兼 新プロジェクト推進チームマネージャー

1974年生まれ。岡山県出身。立命館大学法学部卒業後、京都を離れ、デベロッパーに就職。2011年より京都リサーチパーク株式会社に入社、京都に戻る。京都リサーチパークでは企業誘致・建物開発・経営企画・スタートアップ支援など複数部局でソフト・ハード両面のイノベーション創発活動を経験。現在は建物や場の開発企画・企業誘致を主に担当している。

杉山 智織(すぎやま ちおり)
イノベーションデザイン部

1994年生まれ。2019年、同志社大学大学院 総合政策科学研究科修了(専門は組織論)。新卒で京都リサーチパーク株式会社に入社。多様な人が集うイベントスペース「たまり場」「GOCONC」の企画・運営のほか、起業家支援プログラム「COM-PJ」、各大学との共同授業など、学生対象プログラムや大学連携業務を主に担当。京都生まれ京都育ち。


京都最大級のビジネス・研究開発拠点

-はじめに、KRPについて教えてください。

井上:KRPは、Daigasグループが運営する、1989年に開設した全国初の民間運営のリサーチパークです。リサーチパークのほとんどが公的機関や大学運営である中、民間運営というのは珍しく、その強みを活かし、柔軟に企業を受け入れています。
我々は、企業のニーズに応じたオフィスやラボの賃貸というハード面の支援に加え、入居企業間や入居企業と地域、京都企業との交流を促進する取組など、新ビジネス・新産業の創出に向け、幅広く企業活動を支援しています。

-KRPがある地区はどういうエリアなのでしょうか。

井上:この地区は大阪ガス京都工場の跡地を再開発した、京都最大級のビジネス・研究開発拠点です。JR京都駅からタクシーで10分と近く、18棟のラボやオフィスに、産業支援機関を含め約520の企業・団体が入居し、約6000人(うち研究者は約1,800人)が働いています。
当社は「集・交・創」を社是としており、「人が集まる空間」、「交流するための仕掛け」、「イノベーションの創発を生み出す多様なプレイヤーが集結」という点が、KRP地区の特徴です。

事業成長に合わせて地区内で増床・拡張が可能

-地区内にはどんな施設があるのでしょうか。

井上: 500室以上のオフィス・レンタルラボのほか、オンライン会議や配信に対応できる会議室やイベントホールなどがあります。
オフィスについては、コワーキングスペースに加え、1~2人で利用いただくサイズの部屋から1,000㎡超の大規模な部屋まで幅広くあり、事業成長に合わせて増床・拡張が可能です。
京都進出を検討中の企業や起業後間もない方に人気なのは、「KRP BIZ NEXT」という法人登記が可能なサービスオフィスです。少人数用のワークスペースや個室からスタートし、社員数が増えたら広い部屋へとステップアップすることが可能です。また、コンシェルジュによる来客対応や郵便受取り等のサービスも行っており、入居者の方が事業に集中できる環境を整えています。
月額制(3.3万円~)に加えビジター利用も可能で、京都市の「お試し立地支援制度」(※1)を活用して入居するケースも多く、気軽に利用いただけます。また、スタートアップ向けのTechnology Startup Accelerator『迅』 -HAYATE-」(※2)というエリアがあり、所定の審査に通れば、安価で利用できます。
(※1)京都市内への初進出を検討する企業が、試行的に市内のコワーキングスペースやシェアオフィス等を利用する場合に補助金が交付される
(※2)テクノロジーをベースとしたスタートアップを育成・支援していく会員制の拠点

-成長フェーズに合わせて、地区内で増床・拡張ができるのは魅力的ですね。

井上:KRPでは、起業・法人設立の実績が多数あり、最初はKRP BIZ NEXTで小規模にスタートされるケースが多いですが、事業拡大しオフィスを拡張し、建物の半分以上を占めるほど成長したケースもあります。また、リピーターも多く、成長して地区外へ移転されても、その後にまた戻ってこられたり、中には事業拡大に伴いラボだけKRPに設置する、ということも珍しくありません。

-KRPではレンタルラボも運営されていますが、どのような特徴がありますか。

井上:これはレンタルラボだけでなくオフィスについても言えますが、大学や公的機関のラボのように短期間の卒業年限や共同研究などの入居要件がないことに加え、部屋の選択肢が多いなど、企業の状態やニーズに合わせてアレンジできる、自由度の高さが特徴です。
ラボの設置にあたり必要なのは、「研究環境」と「研究者」の2つです。前者については、どんな研究をされるか、どんな実験が伴うか、危険物がどれぐらいあるかなどのニーズをしっかりお伺いしたうえで、最適な提案をしています。後者については、大学が多いところに優秀な研究者は多く、その点で京都は条件を満たしています。それに加え優秀な研究者を採用するためには場所も重要であり、KRPは京都駅から近く、アクセス面で条件が良いことから、採用にも有利です。

-入居されている方の特徴があれば教えてください。

井上:KRPでは多様性を重視しており、入居にあたり特定の分野に絞るということは行っていません。その中で、2000年代は入居企業の約40%がIT系企業でしたが、近年はバイオやライフサイエンスなど研究開発系の割合が増えており、時代の移り変わりとともに、ご利用いただく企業の分野も変わってきています。

交流からイノベーション創発へ

-入居企業同士の交流はどのように図っているのでしょうか。

杉山:入居企業限定イベントとして、「つながらナイト」という交流会を定期的に開催しています。KRP地区の入居者同士が、ゆるやかに出会い、つながっていくことを目指して始まったもので、やってみたいことやお困りごとなどをテーマにしたショートピッチと交流会をセットで実施しています。また、担当者が入居企業のニーズに応じて個別におつなぎすることもあります。

-入居者だけでなく、外部とつながる機会もあるのでしょうか。

杉山:地区内にある「GOCONC」と「たまり場」という2つのスペースで毎月10~15件程度イベントを開催しています。ビジネスに特化したものや地域に開いたまちづくりなど、テーマは様々で、主催イベントだけでなく共催や持ち込み企画も歓迎しており、偶発的な出会いを大切にしています。
大規模なものでは、毎年夏に「KRPフェス」という一大イベントを開催しています。入居企業のほか、京都の企業や地元の方々も一緒になって開催する「交流の舞台」であり、ITや経営に関するセミナー、子ども向けの体験型ワークショップ、ビアガーデンなど、大人から子どもまで楽しめる内容となっており、市外の方でも気軽に参加いただけます。

GOCONC
たまり場

-イノベーションの創発に向けた事業の中で、市外の企業が参加されているものはありますか。

井上:KRPとJETRO、京都府、京都市が主催するプログラム「HVC KYOTO(Healthcare Venture Conference KYOTO)」があります。ヘルスケア領域で海外展開を目指すスタートアップがエントリーし、オープンイノベーションに積極的な製薬会社などの大企業やベンチャーキャピタル、インキュベーターの前でピッチする、というものです。国内外から企業が集まるため、毎年7月に開催するDemoDayでは、グローバル市場に向け全編英語でピッチを行います。エントリー企業が登壇後に調達した資金総額は、過去8年間で400億円を超えており、関西ではかなり大きな規模です。
プログラム参加にあたり、エントリー企業がプログラムを卒業した企業から資料の作り方や発表の仕方のフィードバックを受けるメンタリング期間を設定しており、卒業した企業とのつながりができたり、ピッチ後にKRPがマッチングしたりと、ネットワークが広がるのもこのプログラムのメリットの一つです。
杉山:その他にも、社会起業家育成等を手掛ける㈱talikiと共に、主にプレシード期のスタートアップを対象に急成長を目指す「COM-PJ」という社会起業家支援プログラムを実施しています。毎年全国から起業家が参加して、3箇月の伴走支援期間中に、先輩起業家や支援事業者の講義を受けたり、事業構想に対してメンターからフィードバックを受け、事業化への精度を高めていきます。
プログラムをきっかけに初めて京都に来て、「こんなに色々な支援を受けられるなら」と京都で登記された方や、行政の支援などにつながり、京都で事業を行っている方も多いです。

「COM-PJ」第4期生

-世界ともつながることができるのでしょうか。

井上:KRPは、複数の機関と連携協定を締結しており、施設の相互利用が可能な機関もあります。私たちが各国のサイエンスパークが開催するコンテストにグローバル展開を目指す入居企業を推薦するだけでなく、各国のサイエンスパークが推薦するスタートアップが我々のプログラムに参加することもあり、世界中のイノベーションを目指すプレイヤー同士の交流機会の創出に、JETRO(日本貿易振興機構)と連携して取り組んでいます。

オフィス・ラボや事業面以外で、KRPに入居するメリットを教えてください。

井上:「KRPに入居している」と言うと、対外的に理解してもらいやすい、という点です。特に海外の方によく言われますが、自国のリサーチパークとイメージを重ねることが多いようです。
杉山:人数が少ないと導入しにくい社員研修や健康診断などの福利厚生サービスを、スケールメリットを生かしてKRPが提供するなど、入居企業の皆さんの総務部的な役割を果たしています。また、地区内には飲食店やカフェ、コンビニ、スポーツクラブなど、様々な商業施設があり、入居企業であれば割引や特別メニューの設定などもあります。
井上:その他、サークル活動も推奨しており、一定の参加者・社数を満たせばKRPから部費や場所を提供しています。英会話やテニス、将棋、IT関連技術の勉強会など、様々なサークルがあります。

京都進出は住みやすさも決め手に

-市外からKRPに入居された企業の事例を教えてください。

井上:ラボからR&Dセンターへと段階的に増床・拡張された例として、精密機器メーカーのナブテスコ㈱様があります。当初は、研究者の人材を求めて2015年に研究開発部門「ナブテスコ・デジタル・エンジニアリング・センター(NDEC)」をKRP地区に移転されました。その後、事業拡大に伴い増床し、2017年10月には研究開発拠点「ナブテスコR&Dセンター」を開設されました。京都はやはり「大学のまち」であり、アクセスも良いKRPに入居してから求人応募は5〜6倍増え、優秀な人材がすでに何名も入社されたとのこと。KRPで出会った研究者とのつながりも大いに活用いただいているようです。
また、スタートアップでは、次世代電動車椅子の開発・販売等を行うWHILL㈱があります。2012年に創業、翌年米国に拠点を開設し、開発の拠点をKRPに置いて米国・日本・台湾の3箇国で事業を展開しています。KRP地区を選んだ理由として、試乗機の設置スペースが必要だったことに加え、開放感やゆったりした駅からの動線、充実した施設を挙げておられ、今後、イベントや展示会の開催など、KRP地区ならではの企業集積や地区の特性を最大限に活用した事業展開を検討されています。
加えて、入居者同士が事業連携した事例として、亀岡電子㈱×㈱シーズがあります。前者は亀岡市に本社を置くセンサーメーカーで、KRP BIZ NEXTに拠点を設置されており、後者はWebシステム開発やクラウドサーバー構築等を手掛ける企業で、2004年にKRPで創業されました。両社は「つながらナイト」をきっかけにつながり、当時、亀岡電子㈱が開発を進めていたセルラー通信式浸水検知センサー「KAMEKER3」の抱える課題に対し、㈱シーズがAWS(Amazon Web Service)を活用したサービス導入をサポートして共同開発し、2021年3月に発売に至りました。今では沖縄から関東地方まで多くの自治体で活用されており、「京都中小企業優秀技術賞」を受賞されています。

-ビジネス拠点としての京都の魅力は、どんなところにあると思われますか。

井上:一番は交通の要所であることです。京都駅は、2時間で到達できる面積が日本一番大きい駅で、工場や研究所を持つ企業にとっては非常に便利な場所です。また、家族連れで住む場合、落ち着いて暮らせるイメージがあるのか、「京都ならいいよ」と了解を得やすいという話も聞きます。
杉山:東京の方からは、「ほどよく自然があり、リフレッシュできる」、「看板が少ないため情報過多にならず済む」という話をよく聞きます。あと、紹介文化があるので、色々なところでつながってネットワークが広がりやすいことと、コンパクトなまちなので、会いたい人にすぐ会えるのも魅力だと思います。

-最後に、京都進出を検討している企業にメッセージをお願いします。

井上:京都へ進出された企業の方に、「働くばかりじゃない」のが最後の決め手だと言われたことがあります。私も他の都道府県から移住して来ましたが、同感です。他と比べて、京都は働く以外の副次的な面でメリットが多く、すべてが上質です。是非、ビジネスの成功に加えて、社員や家族が生活する「住む」ということもセットで考えていただければと思います。敷居が高いイメージをお持ちの方は、私たちの紹介機能もぜひご活用ください。
杉山:京都の企業には、京都が好きで、京都を良くしたいと思っていらっしゃる方がすごく多く、地縁でネットワークが形成されている印象があります。京都進出に関心をお持ちであれば、我々にご相談ください。ぜひ一緒に京都を盛り上げましょう。

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