What if I work and
live in Kyoto…

  • INTERVIEW

2022.04.21

新卒採用や観光ならIT企業の京都拠点もあり 京都の環境が集中力やモチベーションを高めてくれる

2012年に創業したマネーフォワードは、お金の見える化サービス「マネーフォワード ME」やバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」を提供し、 2017年にIPO、現在は東証プライム市場に移行し、勢いに乗るスタートアップの1つだ。Strolyは位置情報(GPS)と連動したイラスト地図のオンラインプラットフォームサービスを提供。この2社は京都を軸にグローバルに事業を展開するIT企業という共通項がある。そこで、マネーフォワード京都開発拠点長の村上勝俊さんとStroly取締役副社長・COOの桑原彩さんに京都における事業展開についての実情を本音で語り合ってもらった。

マネーフォワード京都開発拠点にて。マネーフォワードの村上勝俊さん(左)とStrolyの桑原彩さん(右)。奥はワークスペース、手前はランチや息抜きができるリフレッシュエリアとなっている。

プロフィール

2019年の京都開発拠点を立ち上げたときから京都のトップとして全業務を取り仕切る。

村上勝俊(むらかみ·かつとし)

株式会社マネーフォワード関西開発拠点本部長·京都開発拠点長。前職を経て、2015年、同社に入社。インフラエンジニアとしてインフラ管理、維持、運用保守を担当。2019年2月より京都へ移住し、京都開発拠点の立ち上げに従事。現在は拠点長として採用からプロジェクトマネジメントまですべての業務に携わる。子会社「マネーフォワードi株式会社」取締役·プロダクトマネージャーとして新規プロダクトの開発も行う。

「京都·ミスきもの2017」に選ばれた桑原さん。宝尽くし文様の小紋という華やかな装い。

桑原彩(くわはら·あや)

株式会社Stroly 取締役副社長/COO。早稲田大学卒業後、新卒入社したGoogleにて、Google AdWordsの中小企業向け営業に従事。Google退職後、京都にIターン移住し、京都大学大学院人間環境学研究科修士号を取得。2016年より株式会社Strolyの立ち上げに参画。2017年には「京都·ミスきもの」に選出され、イベント等に出演し、地域情報の発信に務めた経歴も。

優秀な大学があるエリアには優秀な人材が残る。
新卒採用の濃度を濃くしたくて京都へ

―開発拠点を京都に構えるマネーフォワードと、京都に本社を置くStroly。いずれも京都にオフィスを置いて事業展開を行うIT企業ですが、まず、それぞれの事業活動について教えてください。

村上さん 
弊社は2012年に個人向け家計簿アプリからスタートし、それに加え今現在はバックオフィス業務と称される会計、給与、経費、人事などお金に関わるクラウドサービスをトータルソリューションで提供しています。今は法人の割合が6割以上と伸びています。ほかにも金融機関とともに 、その先のお客様に付加価値を提供するサービス、グループジョイン(M&A)による事業展開の拡充など、プロダクトラインナップも増え、有難いことに人材の採用が追い付かないほど急成長しています。本社は東京ですが、これまでの開発拠点の成功を受け、2019年から京都にも開発拠点を置いています。

桑原さん 
私たちはまだ規模は小さいですが、自治体や観光業者が提供するイラストマップをオンライン上のプラットホームに取り込むことで、自分の位置情報に加え、写真やSNSと連動したり、チャット機能を楽しんだりするなどのサービスを提供しています。観光協会や企業等と契約し、観光客には無料で使っていただけるようにしています。今、地図の数は1万枚前後。毎年米国で開催されるテクノロジーとカルチャーに関する世界的イベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」の公式マップにも起用されました。

村上さん 
地図といえばグーグルマップが一般的ですが、こうしたデザイン性のある地図も面白いですね。

桑原さん 
私たちが提供する地図は、縮尺をスルーし、位置情報を正確に出すことを特許化してビジネス化しているのが特徴です。アクセスする人の行動データが蓄積され、地図を登録してくれた観光協会や自治体などのクライアントは、統計化された行動データを閲覧することができます。

―観光事業の一環を担っている点でいうと、やはり京都ブランドは強みになっていますか。

桑原さん 
大きな強みですね。世界中どこでも「京都=観光」というイメージを持ってくださるから、京都に本社があると分かりやすい。加えて、例えば北海道のロックフェスの主催会社さんや与論島の観光協会さんといった、エンタメや観光で経済を回す方々と話するときも京都に本社があるというだけで親近感を持ってくださる。東京の場合、スタートアップも「BtoBで回せば何とかなるでしょ」という世界ですが、観光産業はそうはいかない。私たちの本社が東京だったら各地の観光協会や自治体が温度差を感じてしまい、敬遠されていたかもしれません。

―逆に、マネーフォワードの場合は、「京都」にこだわる必要はない企業。そのなかで敢えて営業支店ではなく開発拠点を京都に置かれた理由は何でしょうか。

村上さん 
すべてのきっかけは「関西エリアにエンジニア採用拠点の窓口を置きたい」ということからです。弊社が急成長するなかで2017年に福岡に開発拠点を開いたところ、上場前にも関わらず、いい人材が集まりました。「地方には人材がいない」とよくいわれていますが、そんなことはなかったんです。そして、優秀な大学があるエリアには優秀な人材が残っているのではないか?と考え、僕が京都はどうか?と提案したんです。

―京都には京大がある、と。

村上さん 
京大だけでなく多くの優秀な大学/学生が多く集まっています。例えば京大生は東大生と同じ日本のトップ大学なのに、東京就職だけで見た場合、東大生が通りやすい傾向がある様に感じていました。学生生活の中でインターン経験が多いか少ないかが分岐点なんだと思いました。当然、東京の企業でのインターンだと東大生に地の利がある。ならば、京都でインターンの機会を提供すれば、京都の優秀な学生が就職で困らないのでは?という発想です。中途採用でいえば都市規模の大きい大阪のほうが優位かもしれませんが、新卒なら京都は選択肢としてお勧めです 。

マネーフォワードでは拠点となるエリアのイメージイラストが壁面を彩る。イラスト中央に見えるのは京都タワー。

エンジニア不足のIT企業にとって採用は大きなテーマ
外国人採用も課題のひとつ

桑原さん 
IT業界において採用は大きなテーマですよね。

村上さん 
とにかくエンジニアが足りないですからね。弊社もビジネスの伸びが早い分、採用の課題もあります。学生と同時に欲しいのがグローバルメンバーのエンジニア。構想段階ですが、弊社は京都も含めて2024年には英語を公用語にする予定です。英語を共通言語にすれば採用人数も倍を見込める。グローバル人材の誘致も大きなテーマとなっています。

―外国人にとっては京都ブランドも強みになっていますか。

村上さん 
正直なお話をすると、想定より弱い印象ですね。エンジニアのグローバル採用では最終面接を僕が担当しており、「勤務先は東京と京都のどちらかがいい?」と聞くと、大抵、東京を選ぶんです。東京は出身国の母国コミュニティがあり日本に移住するなら同じ国の人が近くにいるほうが何かと心強いですから。 京都に魅力を感じつつも、海外の方も日本人も移住するとなると話は別だと思う方もいるみたいです。

―今、外国人採用率はどれくらいですか。

村上さん 
エンジニアに関しては、ノンジャパニーズは30%ほど。外国籍エンジニアを増やしたいというより、国籍を問わず優秀な人材を採用したい。それでこうして京都にも拠点を出したわけです。

桑原さん 
マネーフォワードと比較すると、弊社は企業規模も小さく、まだまだこれからの企業です。国外内問わず、いい人を見つけたら説得して一本釣りというパターンが多いです。例えば、世界屈指のITエンジニアを輩出しているインド工科大学の出身者や、世界最大規模のデータベースに関わった経験のあるメキシコ人のエンジニアなどが、これまで移住のサポートも含めて内定。残念ながら新型コロナウィルスの混乱で採用は叶わなかったのですが、彼らには京都を観光した体験があり、それが大きな動機でした。ノンジャパニーズのエンジニア採用に関しては、東京よりも手応えを感じています。

―京都のオフィスはフロア面積も大きいですが、最初からこの規模で構えた理由は?

村上さん 
やはり弊社が成長中だということが一番の理由です。売り上げも伸びており、従業員を増やす計画がありました。京都の前に開設した福岡拠点の場合、最初はシェアオフィスで2人から始めました。それが6人、8人…と増えて、結局、半年でオフィスを借り変えたんです。福岡の事例を見て、採用のスピードはある程度見込めました。たとえば1年で●●人増やすなら3年で3倍。1人あたり2坪必要なら3年でこれだけ必要そう…や、あとは損益でオフィス借り換えパターンなどを3パターン作った結果、最初から大きめの規模で進めたほうが合理的だろう、と。

桑原さん 
どれくらいの期間で京都の拠点を開いたのですか?

村上さん 
話が出てから10か月後にはオフィスがオープンしていましたね。全部任せてくれたので、和室のリラックススペースも含め、この間取りも僕の案です。

―新しく拠点を開設するにあたって重要なことは

村上さん 
マネーフォワードでは、拠点に裁量権をできる限り渡すことを意識しています。そのため、もちろん会社としてサポートはしつつも「村上くんの気持ち次第だから」と、基本は拠点長が決めるスタイルですね。僕はエンジニア業務をこなしながら、物件の検討から予算管理、備品類の手配まで事務的なこともすべて対応していました。

―すべてを任せてもやり遂げる中心人物。その方の京都に対するモチベーションが重要そうですね。 

オフィスには和室まで!コロナ禍以降は社員もリモート中心だが、以前はミーティングやミートアップに和室をよく使用していたそう。

セールス面では京都は大都市圏に比べて不利な面も。
京都でIT企業の市場を広げたい

―「京ワーキング」では、首都圏企業の誘致促進がテーマとなっています。京都に拠点を有することの成功の秘訣や課題はありますか。デメリットのようなことでも、本気でアクションを起こそうとされている方には、アドバイスになると考えています。

村上さん 
課題面でいえば、難しいのはセールス拠点でしょうね。商業圏は大阪のほうが強く、大都市圏のほうが進めやすい面があります。Strolyさんのように地図と観光を生かしたビジネスなら京都にセールスを置いても問題ないと思いますが。

桑原さん 
そうですね。我々のような観光事業の場合はセールスや管理部門も京都で問題ないかと。逆に、エンジニアに関しては東京のほうが実績数は多いですね。ただ、大前提として、採用面に関してはマネーフォワードさんのようにブランド力が確立された企業と、弊社のようにこれからのスタートアップでは温度差がある。弊社はまだ新卒を取れるほどの体力はなく、中途採用のみ。中途となると、何社か経験している分、ハードルが上がる。1人1人に事業内容や今後の展開について説得するところから始めないといけない。面接にまで到れば直接本人に伝えられますが、まずは弊社に興味を持っている母数を増やさないと。となると、人口が多い都市圏のほうがチャンスは増える。その点、京都だと不利な面もあります。

―たしかに京都はまだIT企業が少ないですね。そのなかでマネーフォワードさんは積極的にミートアップを行っていますが、その狙いは?

村上さん 
一番は採用市場を作りたいということ。弊社はどのエリアでもやっていることですが、IT企業が少ない京都だからこそ頑張っています。エンジニアは転職前提の世界です。「3年後、あなたはうちの会社にいるかもしれない」という前提で動いていますので、 日々、多くの人と接点を作らないと候補者に会えないし、弊社に興味も持ってもらえない。会社のネームブランドがあっても、どんなプログラミング言語を使っているかは社外の人には分からないですし。また、弊社から別の企業に転職できる環境もエンジニアにとっては安心感になる。そんな活動を通じて移住してきたり新しい企業が来てくれると市場ができていくのではないかと考えています。

桑原さん    
エンジニアには京都は人気ですよね。新卒入社したGoogleでは、エンジニアの皆がよく「鎌倉や京都のような静かなところで仕事したいな」と口々に話していました。場所にとらわれずに働けるエンジニアはわざわざ六本木ヒルズに行く必要がない(笑)。彼らにとってみれば、京都のような静かで緑も多く、集中して開発できるところは理想的かもしれませんね。

村上さん 
京都に限らずですが、拠点を移す課題といえば、メンバーの家族問題も大きなハードルですね。僕自身、東京から京都に移るにあたり、 “パートナーの仕事をどうするか”問題に直面しました。パートナーは当時バックオフィスの仕事をしていたので、給与は東京の水準からすると、やはり下がってしまうことがわかり、移住のハードルになりました。

―どう解決されたのですか?

村上さん 
将来も見据えてパートナーにエンジニアへ職種転換してもらいました。半年間、スクールでエンジニア技術を学び、今はウェブ制作のエンジニアとして京都で働いています。パートナーが関西出身なら移住してくれる可能性は高いけれど、家族に地縁がないと断られるケースのほうが多いみたいです。

桑原さん 
たしかに移住となると、「独身か家族か」「エンジニアか非エンジニアか」で大きく変わりますね。私は非エンジニアですが、独身という身軽さで京都に来られた。ただ、東京より給与水準が下がっても家賃や生活費などのコストは東京に比べたらだいぶ抑えられます。

村上さん 
僕の場合は京都の家賃は思いのほか高かった。

桑原さん 
それは良いところにお住まいだからじゃないですか(笑)。

村上さん  
パートナーは「こんなところに住めるの」と喜んでくれましたが(笑)。

桑原さん 
経営側から見れば、人件費を抑えられる利点がある。コストがかからない分、東京より給与水準が低めでも満足して働いてくれる。その点はありがたいですね。

京都は人が少ない分、開発に集中できるから
スタートアップのシード期に向いている

―京都に拠点を置く課題が色々と上がりましたが、逆に、京都に向く企業はありますか。

桑原さん 
物作り系のスタートアップ企業は向いているかもしれませんね。関西全域でいえば、ハードウェアのロボティクスとか。ものづくりの地盤があるので投資したいという企業も多い。あとは弊社のような観光事業。京都ブランドはお客様に伝わりやすく、ユーザーヒアリングもしやすい。あとはミシュラン率が高いので、飲食や宿泊などスモールビジネスのチェーン展開するようなことを考えているベンチャー企業。京都は、物理的に人が少なく集中できるから、スタートアップのシード期にはいいかもしれませんね。

村上さん 
周りの雑踏にとらわれないで済むのが京都の利点かもしれませんね。

桑原さん 
物理的に人が少ないから急かされないですよね。京都だとパン屋さんもカフェも並ばないで済むから日常的に競争を感じない。東京にいると、そこにいるだけで競争環境を肌で感じます。人がたくさんいて、みんなで成長!それが一番!という一方向に向いている気がして、私は競争に乗っているつもりはないのに、同じ方向を向かなきゃいけない、みたいな。そう思う人は京都でのビジネスは向いているかも。

村上さん 
たしかに。東京だと何か月で何億行くか?という「成績」にとらわれがちですけど、実は薄く長くするほうがビジネスの成功率は上がるといわれていますよね。

桑原さん 
東京にいたら周りのスタートアップの話も否が応でも入ってきて、うちはもうだめだ、と焦ってしまう。京都なら自分たちのペースでできますよね。

村上さん 
東京ではどんなに上がっても、上には上がいる。年収700万円を超えると、幸福度がある程度低減していくという研究もありますよね。上へ行けば行くほどしんどい面もあるでしょうね。

一生に一度は京都に住みたかった!
京都にいるだけで仕事のモチベーションが上がる

―ライフスタイルの面では京都の暮らしはいかがですか。村上さんは関西出身ですが、東京で仕事をして再び関西に戻ってこられた、いわばUターン組。桑原さんは横浜出身のIターン組ですが。

村上さん 
採用という観点で関西圏にもいくつか選択肢がある中で、なぜ京都に開発拠点を置いたのか。本音で言えば、僕自身が一生に一度は京都に住んでみたかったという理由が強いです。他にも色々ありますが、「一度はパリに住んでみたい」と思うのと同じミーハーな理由です(笑)。関西圏で何かと便利なのは 大阪。だけど、モチベーションが上がるのは断然京都だったので、結果は後から何とかできるかな、と。

桑原さん 
分かります!私も「人生で一度は京都に住みたかった」派です(笑)。新卒でGoogleに入社した頃から2か月に1度のペースで京都を訪れるほど京都が大好きで。鴨川もあって空は広くて、お寺もたくさんある。京都で着物や工芸品を見るのが楽しくて。東京ではどこで何を買っても同じという感覚があるんですよね。

―どういう違いを感じたのでしょうか。

桑原さん 
東京には、いろんな街や商業施設がありますが、結局、売っているものにそこまで違いはないと思うんです。京都は小商いのお店に溢れていて、工芸品や和菓子など「そこに行かなければ手に入らないもの」があるんです。季節限定のものも多く、“レアリティのマックス”が京都。好き過ぎて、京都に住みたい!と飛び込んできたんです。

村上さん 
京都は楽しいよね。住んでみて思ったのは、とにかく生活圏内にゆとりがある!これは本当にうれしい。京都だと街がある程度の範囲にまとまっているから自転車通勤できて、電車だって混んでいるのは烏丸線くらい。住んでみて初めて、「ああ、自分の人生で一番大事なのは『ゆとりがある』ことなんだな」と実感したくらいです(笑)。

桑原さん 
時間の流れ方が京都と東京は全然違いますよね。

村上さん 
まず、通勤時間が15分とか30分で済むことで往復で1時間も時間ができるし、夜も飲んで帰っても22時くらい。自分のために使える時間が増えた気がします。

マネーフォワード京都開発拠点のエントランス。日本旅館のように行灯が灯され、村上さんの京都愛が伝わってくる。

桑原さん 
ただ、京都は私の想像以上に夏は暑くて冬は寒かった。これは想定外でした(笑)。大学院当時、ここぞとばかりに町家を借りましたが、これが失敗。夏は暑くて家にいながら熱中症になり、憧れの海外留学先での初めて挫折を味わったような気分でした。あとは、思いのほか、夜が暗くてびっくり。東京だと外に行けばお店はいつも明るくてにぎやかなのに。

村上さん 
分かります。夜は思い切り暗くなりますよね。    

桑原さん 
夜7時でも暗いですよね。クリスマスもハロウィンも静かだし、東京の雑踏に慣れていたし、関西には親しい友達もいなかったので、最初の1年目は憧れの京都に住んだのに東京に頻繁に帰っていました(笑)。

―桑原さんは京都好きが高じて、2017年には「京都・ミスきもの」にも就任されましたね。

桑原さん 
これだけ京都が好きなのに、住んでみると、外から来た“よそ様感”をどこか感じてしまって。それで、もっとどっぷりと京都に浸かりたいと思ったのが応募のきっかけです。京都・ミスきものは京都市や京都府などの活動なので、京都を中から知ることもできるし、大好きな着物も着られる。

―京都には古くからの企業が多い分、コミュニティに入りこむ難しさがあるという方もいます。名だたる老舗企業などが加盟する「京都府物産協会(のれん会)」のデジタル地図も作成されています。どのようにお仕事につながったのでしょうか。

桑原さん 
「京都・ミスきもの」のスポンサーが、まさにのれん会さんだったんです。一緒に全国の物産展に行ったり、京都ゆかりの商品を説明したり。のれん会さんの加盟店は156店舗ありますが、弊社の地図を説明する際も「ああ、ミスきものさんね」と話が通りやすい。古くからの京都の人との間にあるうっすらとした壁を越えて、仕事をご一緒するというのが、個人としてのミッションでしたから嬉しかったですね。

―京都が他都市と違うのは、着物や茶道など京都の伝統文化で作られているサロンやコミュニティがあり、会社以外の肩書きや関係性を通じて仕事に繋がっていきますよね。

桑原さん 
京都独特のカルチャーですね。大企業が多い東京と違って、京都は個人に近い中小企業の街。しかも、その中小企業も100年を超えた歴史ある企業という点が大きな特徴です。金融機関も地元の地銀さんや信用金庫さんが強いですよね。京都の信金さんはスタートアップ企業の受け入れに積極的です。

村上さん 
京都は意外とフレンドリーですよね。閉鎖的とか聞いてきたけれど、人も行政も僕たちの会社を温かく受け入れてくれた印象です。

―大都市圏に比べると、京都ではIT企業がまだ少ない。この先、業界が盛り上がるために何が必要だと思われますか。

村上さん 
京都に世界トップレベルのイノベーティブで創造的な企業のAppleやGoogleを誘致できたら最高ですよね。Googleは大阪にも福岡にも拠点があるけど、京都にはない。京都に来たら一気に盛り上がりますよね。スティーブ・ジョブズ氏も京都が好きだったし、そうしたグローバル企業を呼びこめたら面白いですよね。特に、クリエイティブ職ならば京都の街の魅力がめちゃくちゃわかるはずです。

桑原さん 
日本の優秀な頭脳が集まるのが東大・京大ならば、京都のエンジニア・コミュニティが盛り上がっていったら面白そうですね。

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