What if I work and
live in Kyoto…

  • REPORT

2023.01.27

「なぜ京都で暮らし、働くのか」を現地で体感 Kyo-working Tourレポート

「Why Kyoto? – なぜ京都で暮らし、働くのか」をテーマにした視察「Kyo-working Tour」を、2022年12月16日(金)に実施しました。京都市への進出を検討している企業や個人向けに、京都で次の創造的なエリアとして注目を集める場所や、スタートアップの京町家オフィスを訪れ、起業家や経営者から話を聞き、交流会参加までを日帰りに凝縮したツアー。当日は、IT系やアート系、海外の方も含めて参加されました。効率的に情報を得て、現地のネットワークを知ることで、京都のワークライフスタイルがリアルに体感できる視察ツアーの様子をレポートします。

オリエンテーション@京都駅ビル

当日は正午に京都駅に集合。京都駅ビル屋上の広場に案内し、今回のツアーガイドを担当する京都市都市ブランディングアドバイザーの木村元紀さんが、地図を広げてツアーの全体像を説明します。「京都といえば、観光では河原町になじみのある方が多いと思いますが、ビジネス都市として京都を見ていく時に、(今回のツアーでめぐる)再開発エリアに新たな魅力があります。点在しているコワーキングスペースにも注目していただきたいです」と木村さん。そんな「京都で暮らし、京都から働く」京ワーキングの目線を持って、ツアーがスタート。

京都芸大隣接の将来活用地

まずは、歩いて京都駅東部エリアへ向かいます。2023年10月に京都市立芸術大学が移転するのに伴い、周辺の開発が進んでいるエリアのうち「芸大C地区」(通称)の南側へ。ここは芸大の建物に隣接する約4000㎡の市有地です。市の担当者から将来この用地を活用するのに、事業構想のアイデアを事業者等から幅広く募集していると参加者に呼びかけがありました。文化芸術都市の新たなシンボルとして注目されるこのエリアで「民間の創造的な発想を取り入れたい」と。そんな目で現場に立つと、今まさに変わりゆく京都で、その先を想像するスイッチが入る感覚になります。

株式会社イクリエ 京都オフィス訪問

次に訪れたのは、株式会社イクリエ。映像やイラスト、グッズ、フィギュアの原型の制作を通して、キャラクターコンテンツの魅力を発信している東京の会社で、2022年7月に京都にサテライトオフィスを構えました。この日は代表取締役の濵島広平さんとスタッフの方々が迎えてくれました。濵島さんは京町家をオフィスに選んだ理由について、こう話します。「京都市の担当者から、年に2%の京町家が消失しているという現状を聞きました。僕は町家のまち並みが好きなので、会社として町家を借りるのが保全に一役買うんじゃないかという思いもありました。いろいろ内覧した中で、ここが居抜き物件で素敵だったので、最後はノリで決めました(笑)。弊社の場合は、今はワーケーションで使っていますが、今後、営業と採用拠点とする予定です」。濵島さん自身、実際に滞在してみて「静かで集中できる環境」を実感し、「ゲストハウスとして使われていたので、泊まれる環境があって、未だにオフィスという感覚が薄いです。来年は社員合宿で使ってみようと思っています」と。まちの印象については、「時間がゆっくりでリラックスできる。食事に出かけるのも東京だと人が多いけど京都は適度で、(まちの機能が)ぎゅっと詰まっているので移動もしやすいです」。参加者は次々と質問し、京町家をオフィスにするイメージを自分事に引き寄せて考えている様子。冷暖房完備のフルリノベーションされた空間で、スタッフの方々が「京町家で仕事ができるのは新鮮で楽しい」と話す姿に、ワーケーションの良さも同時に目の当たりにした時間でした。

SHIKIAMI CONCON訪問

そして海上輸送用コンテナと長屋を組み合わせた非常にユニークな複合施設である共創自治区CONCONへ。見上げてびっくり。コンテナと長屋からなるその建物は、まち中に突如現われた異空間のよう。入口にあるTARELのコーヒーを飲みながら、この複合テナント施設をプロデュースした株式会社川端組の代表取締役組長・川端寛之さんからコンセプトの説明があり、レンタルオフィスとして運営しているコンテナ内を見学。続いて、併設の長屋にオフィスがある株式会社ぬえの西怜香さんに、コワーキングの共用スペースを見せてもらいました。コンテナと長屋との組み合わせが衝撃的な建物空間に、参加者は「面白い」「おしゃれ」と口にしながら、興味津々に見入っていました。川端さんは、共創自治区を『スイミー』(レオ・レオニ)の物語に例えてこう話します。「ここでは一業種一テナントと決まっていて、仕事の相談が来るとチームを組む。小さい魚が集まって、でっかい魚になって力を発揮するイメージで、プロジェクトごとに中心となる目、メンバーが変わる。そんなコンセプトでやっています」。2019年に開業したこの場所では、独創的なコミュニティが現在進行形でつくられ、突き抜けた個性のあるまちの顔を知りました。

下鴨エリア

バスに乗って、今度は下鴨エリアへ。加茂大橋を通り、賀茂川(鴨川)と高野川が合流する、通称「鴨川デルタ」と呼ばれる、休日には学生や親子連れで賑わう市民の憩いの場を眺めました。木村さんは「京都を語る上で、自然が近くにあるのが大事なポイント」と言い、身近な所に落ち着ける場所、気持ちよく散策できる場所があることで、オンとオフを切り替えやすく、仕事もプライベートも充実できる環境が整っていると、この三角州をリフレッシュできるスポットとして紹介されました。

UNKNOWN KYOTO訪問

次は、五条のUNKNOWN KYOTOへ。築100年を超える元遊郭建築をリノベーションし、宿とコワーキング、レストランが一体となっている複合施設です。運営に関わる株式会社OND代表取締役社長の近藤淳也さんに施設内を案内してもらいました。近藤さんは、施設の特徴について、「朝から晩まで本気で仕事ができる環境」や「ワーケーション目的の利用者が多く、滞在者同士のコミュニケーションが生まれる」点を挙げます。また近藤さん目線での「京都進出おすすめプラン」と称して、1カ月単位の滞在プランを紹介。「人が集まる場所にお試し移住してみる。まずは1週間や1カ月滞在して雰囲気をつかむのは、リスクを下げるのにもいいです」とアドバイス。また、この場所を含む周辺の菊浜地区は任天堂創業の地で、近年は任天堂の創業家が代表を務める山内財団が中心となってエリア開発が始まり、今後新たな創作活動やビジネスが生まれる仕組みづくりや、拠点づくりなどプロジェクトが進められるそうです。

菊浜エリア散策

続いて、菊浜エリアへ。近藤さんの案内のもと、高瀬川を渡り、細い路地が入り組む界隈を「迷路みたい」と楽しみながらゆるり散歩。車通りがない分、辺りは静かで、元歌舞練場やお茶屋さんの建物のたたずまいが独特の雰囲気を醸します。案内先は、五条モールという小さなショッピングモールや、灯商店という地域の人が買い物できるお店、任天堂の旧本社ビルを改装してオープンしたホテル「丸福樓」、地元の人や観光客、サウナ好きも足繁く通うというレトロな建物の「サウナの梅湯」など。古きも新しきも吸い込んで、静かに、刻々と動き出す菊浜エリアの今を肌で感じたひとときとなりました。

LURRA°訪問

日暮れ時、東山三条のレストランLURRA°へ。共同オーナーの宮下拓己さんは2019年、Forbes JAPANが世界を変える30歳未満30人の日本人を表彰する「30 UNDER 30 JAPAN」に選出された一人。その宮下さんが、新たにつくろうとしている場所はレストランから徒歩圏内にあり、今はまだ改装前の町家。ここをレジデンスやコワーキングの複合施設にする計画があり、「1階部分には陶芸のアトリエやカフェレストラン、コワーキングスペースに立ち寄って仕事ができるしつらえに」「宮下さんはLURRA°では3人で共同経営を行っていますが、ここではまた違うメンバーでチームを組み、日に日に可塑性を持ってオペレーションの形を考えている最中です」と木村さんから説明がありました。

QUESTION館内のご案内

ツアーはいよいよ終着地QUESTIONへ。京都信用金庫が2020年にオープンした共創空間で、館長の森下容子さんが館内を案内してくれました。ここでは新サービスや新商品を展示・販売できるチャレンジスペース、コワーキングや学生のための場所など、各階の特徴と取り組み例が紹介されました。また、ビジネスマッチングや「課題解決に伴走をする」体制、京都信用金庫の支店が同じ建物内にあることから、「金融面の相談も同時にできる」と説明がありました。また、1階には京都芸術大学と連携し、主に学生が運営する地域、企業、学生の交流が生まれるスタンディングバーが併設されています。

交流会@QUESTION8階

そのまま8階へ上がり、交流会へ。すでに京都に進出しているスタートアップ企業同士では徐々に市内企業間でコミュニティを形成してきており、今回の交流会には、そうした進出企業経営者や、産業支援機関の担当者、京都市職員も混じって各テーブルにつきました。それぞれ自己紹介から和やかに会話が始まり、グループワークでは、京都で働く魅力を「漢字一文字で表す」というお題が出されました。ツアー参加者が漢字一字を発表し、一人ひとりそれを選んだ理由とツアーを通した京都の印象を語っていきました。「『趣』京都は玉ねぎみたい。むくたびに違う顔が見える面白さがある」「『創』京都にはいろんなアイデアがつまっていて、それらのアイデアで創られているまちだから」「『和』古き良き和風の建物、和み、人をつなぐ和」「『交』文化とカルチャーが交わっている。そして、交から『変』へ。京都には変わっている人が多く、個性的な建物、自分の世界観を持っている人が多い」「『世』世界から注目、世間とのつながりも守られながら新しい環境が整っている」「『人』地域に意識が向き、人とのつながりを重視する文化がある」。その後のフリータイムでは、さらに会話が弾み、終盤にかけて場の熱気がどんどん増していきました。

初対面で会った人たちが、こんなに熱を帯びて交流できるのは、目的が明確なこのツアーならではでしょう。交流の輪を広げ、「京都で暮らし、京都から働く」足がかりが見えたKyo-working Tour、これから始まる京都の新しい風を感じた一日となりました。

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