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live in Kyoto…

  • REPORT

2024.01.29

ビジネス都市・京都の変わりゆくエリアを巡る Kyo-working Tourレポート

京都への進出を検討中の企業等を対象に、クリエイティブなまちづくりが進む京都駅周辺や菊浜エリア、京町家を活用したオフィスやコワーキング施設等を巡る「Kyo-working Tour」を、2023年12月15日(金)に開催しました。ITやゲーム開発、コンテンツ制作など幅広い分野の方10名が参加されました。京都のビジネス面の多様な魅力に触れるツアーの様子をレポートします。

京都駅南側・東九条エリア散策

京都駅近辺でオリエンテーションの後、京都駅南側・東九条エリアへ。このエリアは、市の方針に基づいて「若者」と「アートの実践」によって活性化を図っています。まず訪れたのは、倉庫をリノベーションした90席の小劇場「THEATRE E9 KYOTO」。2019年6月のオープン以来、演劇やダンス、音楽、映画、展示などさまざまなジャンルの作品を上演し、京都に古くから根付く舞台芸術を次代に継承しようと活動している場です。
そこから数分歩いて、アート集団チームラボによるデジタルアート作品のミュージアムを中心とする複合文化施設の建設予定地へ。延べ面積約1万㎡の敷地内には、市民ギャラリー、カフェ、アートセンターのほか、米国発の体験型アートセンター「Superblue Kyoto(スーパーブルー 京都)」が日本初進出することが話題になっています。完成の暁には、最先端のアート&アミューズメントと出会えるワクワクするようなエリアに生まれ変わります。

京都市立芸術大学/共創HUB京都 建設予定地 

続いて、京都駅東側の崇仁地域に2023年10月に移転した京都市立芸術大学へ。美術学部と音楽学部の学生・大学院生が学ぶ新キャンパスには、実技授業や成果発表の場となるギャラリー・音楽ホールのほか、市民も利用できる附属図書館やギャラリーが併設されています。
屋上からはJR在来線や新幹線が行き交う様子とともに、新キャンパスに隣接する約4000㎡の将来活用地が見渡せます。ここは、文化芸術都市の新たなシンボルとなる共創交流拠点の構想が練られています。スタートアップに特化した支援や、社会改革・価値創造を牽引する人材育成、入居者同士の交流を促進する交流型住宅など、さまざまな機能を備えた8階建ての施設が2027年度に完成予定。市の担当者から「ドロップイン(一時利用)などいろんな形で連携もできます。世のため人のためもありますが、何より自己実現のために、ここをベースに共創の輪をつくっていきましょう」と呼びかけがあり、参加者も熱心に聴き入っていました。

菊浜エリア散策

次に、京都市五条の菊浜エリアへ。かつては歓楽街として知られていましたが、近年はこの地を発祥とする任天堂の創業家が代表を務める山内財団によってエリア開発が進められています。 

高瀬川沿いには、クラフトビールのブリューパブ、自家焙煎珈琲のカフェなど、寄り道したくなるような洒落た飲食店が点在しています。ツアー一行は、旧任天堂社屋に安藤忠雄氏設計監修の新築棟を加えて改装したホテル「丸福樓」、明治創業の銭湯を若者が引き継ぎリニューアルしたことで話題の「サウナの梅湯」を見て回ります。そして、細い路地をたどって到着したのは、「UNKNOWN KYOTO」。「仕事もできて暮らせる宿」というコンセプトで、築110年を超える明治期の元遊郭建築をリノベーション。ホテル、コワーキングスペース、レストラン、共用キッチンが一体となった、ワーケーションにぴったりの複合施設です。繊細な意匠が施された欄間やレトロなタイルなど往時の趣を残しながらも、コワーキングスペースにはWi-Fi、複合機、モニター等の機器を完備。地元の人も訪れるレストランは情報交換の場となり、そこからビジネスのアイデアが生まれることもしばしばあると聞き、参加者たちは興味津々の様子でした。
その後、オーナーが祖母の家を改装したという、レバノン料理ファストカジュアルレストラン「汽 [ki:]」へ。南国の果物をベースにしたドリンクでティーブレイクを楽しみました。

公益財団法人京都市景観・まちづくりセンター

次に向かったのは、京都市景観・まちづくりセンター、通称「まちセン」。ここでは、京都が誇る京町家を未来へ継承していくため、「京町家なんでも相談」という活動に力を入れています。「京町家は所有者等の高齢化に伴い、相続や維持管理の費用負担等のたくさんの課題を抱えています。建築士や宅建士など専門家とのネットワークを活かして存続の道をともに考えています」と専務理事の北川洋一さん。「京都に拠点を構えるときの選択肢の一つとして、京町家を活用し、その価値を体感してほしい」との呼びかけに、参加者たちも心を動かされたようです。「まちセン」が運営する京町家等継承ネットのサイト「MATCH YA(マッチヤ)」では、継承者を探している京町家を賃貸・売買の物件として紹介し、オフィス・店舗に利用したい企業・事業者とのマッチングを推進しています。その他にも京町家の改修のプランや費用の事例が掲載されており、京町家の活用に役立つ情報を発信しています。これらの京町家継承の取組の他に地域のまちづくりを応援する活動が行われており、月に一度、近隣住民やクリエイター等が集まり、相席で交流を深めるカフェイベントも開催されています。
センターのホールには、京町家の精巧な模型が展示され、参加者が興味深く見入っていました。

Garden Lab

続いて「MATCH YA」で活用事例の一つとして紹介されている「Garden Lab」へ。入口から細い路地を抜けると、パッと視界が開け、表通りからは想像もつかない隠れ家のような空間が広がります。樹齢100年のもみじが美しい中庭を囲んで建つのは、京町家をリノベーションしたコワーキングスペース兼ワーケーション用民泊。一行を出迎えてくれたのは、代表のウォーリン・ドゥルー・ケントさん。京都の大学で「京町家と庭」をテーマに研究していたというウォーリンさんは、自然との共生を体現する京町家の落ち着いた環境がビジネスにも適していることに気づき、長期滞在するビジネスマンのための拠点づくりを構想。長らく空き家だった京町家の大家さんと出会い、改修の許可を得て、2020年夏に「Garden Lab」をオープンしました。ウォーリンさんは、近隣の京町家を含む長屋路地再生プロジェクト「もみじの小路」の管理人も務めています。路地奥では飲食店が営まれ、仕事終わりに隣人たちと団欒のひとときを楽しむコワーキング利用者もいるとのこと。利用者は主に中小企業の経営者やフリーランスで、スタートアップビザの法人登記に対応できるため、海外からの問い合わせもあるそうです。

進出企業との交流@QUESTION

いよいよツアーも終盤にかかり、京都信用金庫が運営する共創施設「QUESTION」へ。副館長の川上哲典さんに各フロアを案内していただいた後、4階コミュニティステップに集合。昨年Kyo-working Tourに参加し、新たに京都市へ進出した2社の方にお話を伺いました。
1人目は、イラストマップを制作できるデジタルツールを開発するジオ・マーク株式会社の岡崎峻二郎さん。本社は東京ですが、観光メディアをつくる側として、世界で注目される観光都市・京都に興味があり、昨年のツアーに参加されたとのこと。そこでビジネス拠点としての京都の魅力を知り、常駐スタッフを募集して「QUESTION」に拠点を構えたそうです。
2人目は、地域特化型の求人マッチングサービスを行うインタラクティブ株式会社の臼井隆秀さん。沖縄で事業をスタートし、近年は「地域の可能性を解放する」をパーパスに、積極的に全国展開を進めています。当初、京都には参入しづらいイメージを持っていたそうですが、Kyo-working関係者と知り合ったのを契機に、次々と人の輪がつながり、迅速かつスムーズに京都オフィスが実現したと語ります。
質疑応答では、進出後の人員体制や、コワーキングのメリット、利用できる制度などについて質問があがり、参加者はお二人の体験談に耳を傾けて、有意義な時間を過ごしました。

懇親会@SIGHTS KYOTO

最後は京都五花街の一つ、宮川町にある「SIGHTS KYOTO」へ。かつてお茶屋だった築100年以上の京町家をリノベーションした「SIGHTS KYOTO」は、コワーキングスペース、バー&カフェ、観光案内所、物販スペースから成る観光複合施設です。旅行者と地元の人々が自然なかたちで互いの時間と居場所を共有し、交流できる場となっています。当施設を運営する株式会社ニシザワステイ・西澤徹生さんの音頭で、京都のクラフトビールや地酒を酌み交わした参加者たち。本ツアーで見聞きしたことや今後の京都進出の予定など、共通の話題には事欠かないようで、コの字型のバーカウンターで楽しげに談笑していました。今回のツアーで、「京都で暮らし、京都から働く」イメージができた方もおられることでしょう。京都を拠点とした新たなビジネス展開が期待されます。

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