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  • REPORT

2024.03.29

「Kyo-working Community第3回交流会」開催レポート

2024年1月23日(金)、新たに京都に進出した企業と京都の地域企業、産業支援機関が交流する「Kyo-working Community第3回交流会」を実施しました。場所は第1回交流会と同じく、京都信用金庫QUESTION 8階のDAIDOKORO。当日は京都初進出企業から10社、地域企業から6社、産業支援機関から12機関が一同に会し、市の提唱するワークライフスタイル「Kyo-working|京ワーキング」について、さらに考えを深め、コミュニティとしての熟成を図る対話の機会を持ちました。ここでは、その交流の様子をレポートします。

今年度第3回目となるKyo-working Community交流会では、議論の題材として「We-winner(ウィーウィナー)」というテーマが発表されました。

企業として、独立自尊で自らの利潤を追求する経営の形も世の中には存在しますが、このKyo-working Communityでは、京都の価値を活かしながら、「We」で語り「We」で勝つというスタンスを模索できないか、と参加者の皆さんに問いかけをしました。これは、新たな風を呼び込む進出企業と、京都で連綿と商いを続けてきた地域企業との新しい連携の形を促進するために、企画したものです。

冒頭、ファシリテーターの木村氏からは「京都らしい経済圏のつくりかた」の鍵となり得る「We-winner」というコンセプトについて共有がされました。

<交流会ワークショップ投影資料より>

「We-winner」的な仕事の作り方を具体的に説明するために、例として下記の3つのケースが示されました。

・Global × Kyoto
「海外の新しい顧客・市場と京都の伝統工芸の価値を掛け合わせる」
ex) 株式会社水玄京
・Creativity × Kyoto
「写真芸術における創造性の集積地とする」
ex) KYOTOGRAPHIE
・Tech × Kyoto
「京都のフィールドを最新のテックの実証実験の場にする」
ex) 株式会社テムザック

ここに挙げられたそれぞれの事例は、協働する社外の方々と共に収益を手にすることが可能となる新たな事業の基盤作りに挑戦していると言えるかもしれません。京都の経済のパイ自体を大きくする試みであるため、新たに参入する企業と地元の企業が共に稼ぐ、共に栄えることが可能になるきっかけとなることが期待されます。

交流会前半の約1時間30分は6グループ(1グループ6~7人)に分かれて、まず自己紹介タイム。その後、ワークショップを行いました。そこでは、「We-winner」のコンセプトを各テーブルで消化するための2つの問いが投げかけられました。

1つ目の問いは、

Q1.「Weで語る。Weで勝つ。」
  京都らしい経済圏をつくるってどういうことだろう?

この問いに対し、各テーブルからは下記のような視点が提示されました。

・京都らしい経済圏をもっと豊かにするには、文化資産をきっちり収益に転換していかなければならない。この取組にはまだまだ多大な余地がある。
・京都は過去からの資産をいただいて、それを元手に今日の事業を営んでいるケースが多い。京都らしい経済圏をつくるためには、これらをいかに遺すか。いかに発展させていくのか。未来に対する投資を考えられる人材を育む必要がある。
・「We」の定義も同時代の「We」だけではなく、積み重ねられた歴史を紡いできた先達の「We」もあれば、この資産を受け継いでいく未来の『We』もいる。時系列をまたいだ多元的な「We-winner」を考える必要があるのでは。

京都らしさとは何か。Weとはそもそも誰を指すのか。

根源的なところに立ち返りながら、各テーブルから活発に意見が共有されました。

そして2つ目の問いが提示されました。

Q2.「Weで儲ける」
  例えばどんな組み方だったら、例えば何があったら、京都らしい経済圏を大きくすることができるか?

京都の街中ではあまり聞かない「儲ける」という直接的な言葉。家族の中や企業の経営陣の間の会話では使われることもありますが、京都の巷の会話ではまず耳にすることはないのではないでしょうか。敢えて、この「儲ける」という動詞を含んだ問いに対し、各テーブルからは下記のような視点が寄せられました。

・京都の商売は規模を追い求めない経営。そもそも無理して大きくすることを良しとしていない。大きさよりも長さ。信用が長く続いていくことを重んじる。
・とはいえ、それは京都らしい建前。現実的には経済的に逼迫している業界や会社は山ほどある。それでも東京にも大阪にもなりたくないというのが京都の本音。
・京都には圧倒的に現金が足りない。ビジネスの投資に回る自由な資金が東京に比べて少ない。では、京都にすでにある資源をどう活用するか。文化資源。自然資源。学生をはじめとする人的資源。まだ顕在化されていない資源もあるのでは。
・人材視点で言えば、企業の枠組みを超えた人材のオーバーラップが有効かもしれない。 例えば、本業とは別の時間を使って、複業的に月10万円分だけ違う企業、業界に自分の能力を使ってみる。企業としても正規の賃金を永年支払う必要がなく、個人としても年収が直接的に上がり、人材としての価値が高まり、進路の可能性も広がる。
・京都は紹介の文化。誰の紹介なのかがものを言う社会。丁寧な個と個のコミュニケーションが重要視されている。ただそれは外からやってきた企業が持ち得ないコネクションでもある。例えば、京都市のような公的な団体が、企業や産業支援機関のキーパーソン同志を接続する機能を強化していくことはできないか。
・「Weで儲ける」そもそもこれがわかっていればとっくにやっている。このワークショップの限られた時間だけでは到底足りない。引き続き考えを深めたい。

あっという間の1時間半のワークショップが終わる頃には、各テーブルまだまだ話し足りないといった雰囲気で包まれ、会場全体が盛り上がりを見せていました。短時間のワークショップでは答えが出るはずもない問いを胸に、ワークショップの後は1時間程度の懇親会が開催されました。

「グループが違ったけれど、共有されていた視点が面白かったから話を聞きたい」「目下取り組んでいる事業に将来関係してくる業界なのでぜひつながりたい」等々、進出企業、地域企業、産業支援機関それぞれが直接接続する機会となりました。

ワークショップ本編で提示された視点や、懇親会で交わされる問題意識と、現場に即した課題感など、来年度以降のKyo-working Communityの展開を考えるにあたって、非常に示唆に富んだ交流会となりました。

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