- REPORT
2025.03.31
Kyo-Workingトークセッション「成功事例から学ぶ!京都進出企業の戦略~ビジネス環境編」開催レポート
京都には、コワーキングスペースや京町家などの多様なオフィスや、豊かな自然に囲まれた職住近接のコンパクトシティなど、多くのビジネス環境の魅力がある。そこで、実際に京都に進出した3社をお招きし、ビジネス面、オフィス環境面から京都のビジネス環境の魅力に迫る。
パネリストとして登壇したのは、株式会社日立オートメーション 代表取締役社長 新井美帆氏、ジオ・マーク株式会社 代表取締役 岡崎峻二郎氏、株式会社サーチフィールド 取締役COOの笹淵久子氏。モデレーターは朝日新聞社Globe+編集長 関根和弘氏が務めた。

ビジネス拠点としての京都市の魅力
関根氏
ご登壇者の皆様、自己紹介を兼ねて京都進出を決めた経緯を教えてください。
新井氏
株式会社日立オートメーションは2022年に新しくできた会社です。滋賀県に拠点があったのですが、西日本エリアでの事業拡大も視野に入れ、東京からのアクセスも良く、オフィスとショールームを併設できる場所を探している時に、今の場所を見つけました。滋賀のメンバーが通いやすい点も京都への進出を決めたポイントの1つです。
岡崎氏
ジオ・マーク株式会社はイラストマップを制作するデジタルツールを開発する会社です。京都は世界的観光地であるため、観光マップを手掛けることの多い弊社の事業との親和性の高さにひかれて、京都市主催のビジネス視察ツアーに参加したのが進出のきっかけです。
笹淵氏
株式会社サーチフィールドはゲームや漫画のイラストに特化した制作受託やクリエーター人材紹介、派遣サービスを提供しています。京都はゲーム、アニメ、漫画などコンテンツ産業に力を入れていて、弊社との親和性が高く、可能性を感じて進出しました。また採用面では芸術系大学が多いため、人材が豊富であることも魅力でした。
京都の多彩なオフィス環境
関根氏
コワーキングスペースや京町家など、京都には様々なオフィススペースがありますが、皆様のオフィス環境の特徴や魅力について教えてください。
新井氏
京都リサーチパーク内にオフィスとショールームを併設しています。ショールームは産業用ロボットのデモンストレーションを行う施設となっており、ロボットを設置するには天井の高さと床の耐荷重が必要で、条件にあう物件を探すのが大変でした。入居している建物は近代的なビルですが、緑豊かで眺めがよく、京都駅からも近くて便利です。

岡崎氏
京都信用金庫が運営するコワーキングスペース「QUESTION」に入居しているのですが、Wi-Fiや水回りなど管理する必要がなく、少人数からすぐ入れるので、小規模から始める人にとって魅力的な施設です。イベントや、交流会が毎週のように開かれており、他社とのつながりも広がりやすいです。自社オフィスを持ちたい願望もありますが、今の場所の雰囲気が良いのでなかなか離れがたいです。

笹淵氏
京都らしいオフィスにしたいと考え、お茶屋をリノベーションした京町家を選びました。想定より家賃は高くなりましたが、幸い、上の階を宿泊施設として使っていた物件だったので、その免許を引き継いで宿泊業の収入を家賃に充てることができました。
古い建物なので、普通のオフィスより維持管理に手がかかりますが、逆に手をかけるほど「私たちのオフィス」であると愛着が湧くので、維持管理も含めて楽しんでいます。

進出後も手厚いサポート 企業や人とのつながり
関根氏
京都のビジネス環境や京都市の支援など、進出後によかったと思う点について教えてください。
新井氏
東京より京都の方が採用しやすいと感じています。すでにアルバイトを採用しており、京都にはロボットやプログラムに興味のある理系の大学生が多い印象です。また、お客様と会うときに、抹茶をたてたり、仏閣で打ち合わせをしたり、川床で会食をしたりと、京都ならではのおもてなしができる点も魅力だと思います。 京都市の支援については、補助金もありますが、「進出すれば終わり」にならず、京都市のサイトへの紹介記事の掲載や交流会など、途切れなくサポートしていただけます。

岡崎氏
先ほど弊社のマップ事業との親和性の高さについてお話ししましたが、実際にお仕事に繋がった例がある他、プロジェクトの実証実験をする機会にも恵まれました。京都は「一見さんお断り」のイメージがありますが、「本気で京都に来た。あなたと本気で付き合いたい」という人には親身になってくれます。また、魅力的な街並みから刺激を貰うことができるため、新しいアイディアが出やすい環境だと感じています。

笹淵氏
京都に来て感じたメリットは、まず、学生インターンにたくさん来ていただけること。そして、関西圏のクリエーター・イラストレーターと会いやすいことです。
次に、京都市の支援について、進出前から進出後まで、様々な方をご紹介いただきました。京都は「紹介文化」であり、信頼関係をベースに責任をもってつないでいただくような「ヨコ」でつながっていくイメージがあります。そのきっかけを市の方につないでいただけることは大変ありがたいです。

新井 美帆(株式会社日立オートメーション 代表取締役社長)
東京女子大学現代文化学部卒業後、2002年に株式会社日立製作所に入社。自動車メーカーや通信事業者向けの法人営業に従事したのち、日立製作所によるロボティクスSI事業立ち上げに従事。ロボティクスSI事業基盤強化準備室副室長を経て、2022年の日立オートメーション設立と同時に同社取締役事業統括本部長、2024年4月から代表取締役社長を務める。2023年から京都に進出し、事務所とショールームを展開する
岡崎 峻二郎(ジオ・マーク株式会社 代表取締役)
2006年に日本大学芸術学部卒業後、大手印刷会社に入社。流通・製造業大手のセールスプロモーション、イベント・展示会の企画、制作、運営や、地方自治体の魅力発信などに携わる。結婚後に2人の子どもと伊豆を訪れた際、青春時代に12年間過ごした当地について何も知らないことに気づき、培ってきた経験を自治体の魅力発信に生かしたいという思いから起業。2023年に京都に進出し、京都市とのつながりも大切にしながらビジネスを進めている
笹淵 久子(株式会社サーチフィールド 取締役COO)
2007年に関西学院大学を卒業後、株式会社USENに入社。2011年に株式会社サーチフィールドに入社。2014年よりイラスト制作事業部「GIKUTAS」の事業部責任者を務め、ディレクションを中心にクリエイター支援業務に携わる。2018年より現職。2023年より町家を利用した京都オフィスを立ち上げて活動している